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魚が水面に向かって口を開けるように、エリオットはラケシスの唇に吸い付いた。 想像通り、彼女の唇からは甘い香りが迫ってくる。その唇の中まで吸い出そうとするように舌を割り入れると 「あむ…」 ラケシスもそれに答えて、柔らかく小さい舌をからませてくる。唾液をからませる、ぴちゃ、くちゅとした音を聞きながら、二人は、今度は情感たっぷりに寝台に重なった。 周りを武骨に囲んだ兵士は、都合よくいなくなっている。 エリオットの手が、ラケシスの胸の辺りをまさぐり始める。その手は彼女に導かれて、ほどなく、ぷわりとみずみずしい柔らかさに触れられる。 「うふ」 ラケシスの唇から、含み笑いが漏れた。エリオットは、がっちりと両手に乳房をつかみ、こね始める。 「ふあ、ああっあ」 ラケシスが甘い声を上げる。指が食い込むような柔らかさは、エリオットの為にあるように、その手の大きさにぴったりとなじんでいた。 「だめ、だめ」 あえぎながら、ラケシスがエリオットの首をひきよせる。谷間に顔がうずまった。 「わぶ」 「壊れてしまうから優しく、ね?」 ささやくように諭されて、エリオットは改めて手を動かす。胸の谷間も、唇とはまた違う心地よい香りがたち、エリオットは口と鼻いっぱいに香りを吸い込んだ。やがて、手の平がラケシスの胸にある突起を探り当てた。指の腹でつまみあげると、ラケシスの体がぴくっと震える。 「あんっ」 うっとりと艶のにじんだ声だった。そのあたりを執拗なまでに捏ね、唇で探り当て吸う。どこまでも柔らかい中に、一点だけ堅く張ったところが有り、吸いながら、舌先でそれをもてあそぶ。 「だ、だ、だめ…何にも出ないから…」 と言う声が徐々に弱くなってくる。その愛撫だけでラケシスの体はかっと熱くなり、全身がほんのりと赤らむ。 「ふぁぁ、あ、あ…」 彼女の手がシーツをさぐり、ぎゅっと握った。 「もう、もう…熱いの…」 やっと顔を上げたエリオットを見つめる、その目じりに涙がうかぶ。その上、 「ここが…変になってきて…」 再びエリオットの手を取り、まだ下着に守られている秘所に当ててくる。その大胆さにエリオットの指がびくりと動く。 指先に、うっすらと湿り気が上がってるのを感じた。その湿り気が本物なのか疑っている訳ではなかったが、つい、当てられた指でその場所をまさぐる。 「あふぅっ」 ラケシスは、手足をはね上げるような反応をした。調子に乗って、下着の横から指を差し入れる。指をひだの間に潜り込ませると、くちゅ、とみだらな音をたてた。 「あくぅ…くぁ…」 ラケシスの腰が浮いた。 下着を取り去ると、柔らかい金色の茂みはすっかり濡れ、愛らしい割れ目さえその下から透けて見えるほどである。 その割れ目の真ん中に、エリオットの中指が付け根まで入っていた。 「あ、…何か入ってる…」 「俺の、指だ」 エリオットの息も上がり始めていた。公の場所ではつんけんとして、自分を歯牙にもかけなかったラケシスが、自分の指を下の唇にくわえ込んで身も世もなくもだえている、それがむしように誇らしく感じた。 ラケシスがぴくりと震えるたびに、指に何かの動きが伝わる。エリオットが指を出し入れさせると、 「ん、きゃ、かはっああ、んくっ」 ラケシスはその指を締めつけ、指を伝って潤いがぽたりぽたりと滴る。 「あの…ね、ここ…」 あえぎながら、ラケシスが自分で下の唇を左右に開いた。充血して膨らんだひだが広げられ、その上部で興奮した陰核がさらされる。 「ここも…して…」 「へぇ」 エリオットは片頬を持ち上げるような笑をして、差し出されたような陰核をぴん、と指ではじいた。 「ひぁっ」 「初めてのわりには、そんなこと知ってんのか」 にやりと笑う。その意外さがなぜかうれしい。指をことさらに出し入れさせながら、彼女の耳に息を吹きかけるように言った。 「お前がそんなことしてるのを、あの兄貴が知ったらどんな顔をするだろうな」 ラケシスはその言葉にすっと顔をそむけた。 「そんなこと…」 「まさか、あの兄貴にこんなことして欲しいとでも、おもってんのか」 「あっ、そんな、こと…」 ぐちゅ、ぐちゅ、と、ラケシスを出入りする指はいつの間にか二本になっていた。そのまま、脚の間に顔をうずめ、陰核とひだをなぶる。 「きぁはっ」 ラケシスの腰がまた浮いた。 「あ、あ、そこ、…ふああ、あ、いや…そんな」 エリオットの頭を股間に押さえつけて、襲いかかってくる快感を持て余すようにあえぐ。 「…あはっはっんくっ」 その息が徐々に早くなり、エリオットの指はぐいぐいと締めつけられる。 「もう、もうだめ…ひぅ、…うっ…」 息を引くような喘ぎが短くつづき、 「んぅ、ふ、くぅぅ…っ」 びくん。エリオットの舌先で、陰核が震えた。 「くはぁっ…はぁ…」 ぐったりと、寝台に体を預けて、ラケシスは、初めての人前での絶頂をうっとりと堪能した。 エリオットが指を抜く。とろりと、白みがかったものが、指にからんできた。 「ほぉ、女も本気でイけばこうなるのか」 おかしいほど冷静に言っていると、ラケシスはゆるゆるとみをもたげ、エリオットの視線に気がつくと、気まずそうに顔をそむけた。 「悪くはないだろう」 というと、ラケシスはまだ興奮の残った顔で 「今度は…あなたの番よね?」 と返した。 すでにエリオットの一物は、膨らむばかりの期待をその場に体現していた。 多少まとわりつく皮に余裕が認められるほかは、いたって変哲もない持ち物である。しかしラケシスは笑うことなく、 「かえって、これぐらいのほうが敏感だったりするのよ」 といいながら、そのあまり気味の皮から亀頭をむき出し、舌で先端にしみでる粘液を塗りつけながら、やがてゆっくりとくわえる。鈴口に、口付けで堪能したあの柔らかい舌先が当たり、やさしく割って入ってくる。 「はうう」 エリオットは思わず声を上げた。ラケシスはその声に対する笑いをこらえるような顔をして、飴でも舐めるようにエリオットの亀頭を舐めあげた。 「う、うおお」 腰が動きそうになるが、肝心の一物を握られたままでは、動くこともできない。しかも、その一物を握る彼女の手は、 絶妙の力加減で幹を責めるのだ。自分が不如意を紛らすのとは明らかに違う。それでも 「ね、根元までくわえないのか」 と聞く。するとラケシスは 「あら、そういうのがすきなのね。 いいわよ」 といい、薄紅の唇を丸めた中に、亀頭から後もくうっとおさめてゆく。 舌と口蓋に亀頭を挟まれ、唇と手が幹を愛撫する。余った手が、その下の袋をやわやわと揉んだ。 「ぐうう」 搾り取られる感覚というのは、こういうことを言うものか。あっけないとも言うべき時間で、エリオットはラケシスの口の中に戦場で溜め込んだ分を大量に放出した。駆け巡る快感が一極に集まって、解き放たれた感じだ。 「あ、うううっ」 柄にもなく呻いてしまう。 「んむっ」 ラケシスは口の中いっぱいに精液をほおばり、まだ出そうと脈動する一物に吸い付く。全部を飲み込んで 「…うふふ」 と笑った。 「まだ、出る?」 という彼女の手は、まだエリオットから離れない。エリオットの一物は、まだ硬度を失わず、むしろ彼女の大胆さに萎えることを忘れたように見えた。 「出してあげる」 返答を待たずにそういい、ラケシスは、再びエリオットを唇の中に収めてゆく。今度は、のどの奥まで飲み込むようにくわえ、吸いながら出し入れを始める。じゅぷ、じゅぷ、と、唾液の音が立ち、彼女の唇の赤さが、下の花びらのようなひだを思わせた。 じきに、あの場所にこれを収めることができる。そう思うと、エリオットの一物は、ラケシスの唇の中でいっそう熱さを増した。 赤い唇から、ぬるりとエリオットが立ち上がる。 「さっきよりも…大きくなったみたい」 ラケシスはそうつぶやくように言って、 「そろそろ入れたいでしょう?」 と言った。エリオットは呆然と、目前のラケシスを見入っている。彼女は、エリオットの首に手をかけ、ぐいと寝台に引き倒す。 「わ」 「入れて」 エリオットの手は秘所に誘導された。潤いは引かず、むしろあふれるほどで、充血したひだはうっすらと口をあけている。 「後悔するなよ」 「するものですか」 ラケシスの膝の間に割りいる。充血し、潤いをたたえたヒダの真ん中に、亀頭を食い込ませる。 「んっ」 流石に、ラケシスの眉根がよった。とにかく、押し込もうとする。濡れてはいたが、すぐに受け入れられる大きさではなかったらしい。 それが、突然、ぬるっと吸い込まれるように入り込み、エリオットはのめりそうになる。 「はぁ…は、」 ラケシスが、手に触ったシーツをぎゅっと握った。予想以上のきつさに、エリオットの一物は要らぬ刺激に更に興奮する。 気がついたら、お互いの体毛が擦れるほど密着していた。 「う、動くぞ」 ラケシスの膝の裏を持ち、足を広げたまま、腰を打ち付ける。 「あ、あ、ひぁ、あっ」 のどで堪える声が、つきこまれるたびに短く漏れる。体に力が入っているのだろうか、ラケシスの中は狭くこわばっていた。それでも、エリオットは勢いを止めない。引き抜かれる一物に、鮮血がこびりつく。 「やった」 誰に聞かせるともなく声に出していた。本当にラケシスは処女だった。 「俺のものだ…シャガールにも誰にも、渡せるもんか」 愛液に、血液が混ざり、ラケシスの中は異様に滑らかだった。中の壁は絡むように、エリオットの一物を撫でる。 突きこむと、奥の狭さに亀頭を締められる。こうも美しいもので自分の童貞が捨てられたとおもうと、エリオットも泣き出したい衝動に駆られていた。 ラケシスの腰を浮くほどにひきつける。根元まで差し込んだまま、腰を回転させると、 「ひぁぁっ」 ラケシスの声が変わった。破瓜の苦痛で蒼白になった顔に、再び赤みがさす。 「そ、そこ…」 「どこだ」 「中が…奥の方が…」 はわはわと、うわごとのように言う。エリオットはゆっくりと深く突き込む。 「ああっあっ…はあっ」 ラケシスは背をそらせた。痙攣のような締りは秘所のふちに集約し、絞るような動きになる。根元から融けるような快感がわきあがる。彼女の、かすれ気味の嬌声がこの趣を煽るった。 「ぐうっ」 エリオットは、射精の衝動が近いのを、一人遊びの経験則から悟った。気をそらそうと歯を食いしばり、奥底まで刻むように突く。 ラケシスの表情は、いつの間にか愉悦をいっぱいにたたえていた。 「はぁっ…はぁっ…」 一度、動きを止めたエリオットを、うっすらを目を開いてみる。 「どうしたの?」 とたずねたが、エリオットはそれには返答しなかった。再び腰を動かし、絶頂のふちまで、彼女を追い詰めようとする。 「は、ああ、あーっ…ん、くっ」 ラケシスも、自分から腰をうごめかせて、感じる場所を探ろうとしている。その回転がエリオットに伝わって、一物は更にたけり狂った。 「んくぅっ」 そのラケシスの体がびくん、とはねる。 「あ、何か…くるっあっあ、だめっ」 声といっしょに、秘所がエリオットを締め上げる。 「出すぞ、出すぞっ」 言いながら、突き上げる 「ふ、あ、ああ…あああーっ」 どくん。 びくびくびくくっとラケシスが痙攣する。その刺激が引き金を引いた。 「ぐっ」 膨れ上がった一物から、熱いものが迸った。引き抜いてもなお、引きつりながら、白いものを吐き出す。 息を荒げ、脚を投げ出した彼女の秘所から、血の色をまとわせた泡がどろりとこぼれた。 ラケシスはゆっくり起き上がり、寝台の面に破瓜のしるしがのこるのを、呆然とした体でながめている。しばらくそうして、 「ふふ」 と笑った。 「何がおかしいんだ」 エリオットがいぶかしげに問う。 「終わったら、あっけないものね」 「そんなものなのか」 「こんなものが大切なんて、男の人の考えることはよくわからないわ」 そう言って、ラケシスがエリオットを手で招く。近寄る彼を自分の脇に横たわらせ 「約束よ、アグスティで味方になってくれるでしょうね」 といった。 「ああ。二言はないつもりだぞ」 と返す。ラケシスは安心したように、目を閉じた。 「ここで寝るのか?」 「あなたが望むなら」 殊勝な物言いに、エリオットはつい憎まれ口を利く。 「勝手にしろ」 そして、自分も目を閉じた。手探りで、ラケシスの体をひきよせた。上質の羽根枕のような柔らかさが、絡みつくように夢に誘った。 「…エリオット様」 事後のたゆとうとした眠りが、兵士の声で現実に引き戻される。 「…んが?」 エリオットは目を覚まして、半分からだの落ちかけた簡易寝台から、本当に転げ落ちた。 「いててて…あれ?」 そして、自分のおかれた状況に呆然とする。 「どうしたここは…ノディオンじゃなかったのか…ラケシスは??」 彼女のかわりに、転げ落ちてもエリオットは、羽根枕を抱えて離していなかった。兵士は、それにあきれるより先に 「ラケシス姫はまだノディオンにおられます。 それよりも殿下、エバンスから、グランベル勢がノディオンの援軍として到着した模様です」 「なにぃ!?」 あとのことは、語るまでもないが… ノディオンはエバンスからの援軍によりエリオットの勢を退けた。おっとり刀で飛び出したエリオットも、その軍勢により捕縛され、諸将の前に引き出される。ラケシスの姿もあり、エリオットは思わず 「ラケシス、これは何かの冗談だろう、ただの仲じゃなくなった俺をまさか」 と詰め寄ろうとする。しかしエリオットは後ろ手になわをかけられ、その縄をノディオンの兵士が持っていて、 自由に身動きなどできるはずもない。ラケシスは、エリオットが近づいた分だけ後ずさりし、 「ただのバカ王子だとおもっていたあなたもいよいよ地に落ちたものね。大方、城と私を無傷に手に入れようとして、 変な妄想でも描いていたのでしょう? おあいにく様、いい気味だわ」 と言い放った。 「なんだと」 エリオットがまたラケシスに詰め寄ろうとする。兵士が縄を引いて、エリオットは大仰に背中から転んだ。 「ぐわっ」 体勢を立て直そうとするエリオットの目に、 「王女、これ以上は危険です。…こちらに」 護衛らしき騎士に連れられて、部屋を出ようとしているラケシスの後姿が目に入った。 彼女は振り向かず部屋の向こう側に消え、もう出てこなかった。 |