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 私は、陛下のお近くに部屋をいただき、夜な夜なお呼びを受ける身になりました。本当に、私以外のどなたもお近づけになっていないと聞いて、涙が出るほどうれしく思ったものであり、いつしか、そのお呼びを心待ちにするようになっていました。
 そういう生活の中で、私は、陛下のお手で、戸惑いながらも少しずつ新しい悦びに目覚めていったのです。

 その日は、昼の政務を一通りおえられた陛下から、外に来るよう、お召しがありました。
私は、お召しがあるというだけで熱くなり始める体を少し笑いながら、ご指示の通りに脱ぎやすい服に替えて、参上しました。
 すでに陛下のお部屋には、政務官のお姿は誰もなく、陛下はお椅子でひとり、くつろいでおられました。私が入ると
「うむ、良く来た」
そうおっしゃいます。わたしは、力が抜けかけた足が震えてしまいそうでした。陛下は私の元にまでおいでになり、私の熱くなったほほに満足そうに触れてくださり、
「用意はすんでいるはずだ。今日は趣向を変えよう」
と、私の手を引かれました。
「お外にいらっしゃるのですか?」
いつものように、ご寝室に入るものとばかり思っていた私は、突然のことに足がもつれそうです。
「うむ、毎日毎日政務では身も心ももたん。庭の緑はそういうときに癒してくれるものだ」
「はい」
「お前もそうだろう、王子と私との二人の世話では」
「お戯れをおっしゃらないでください」
「まあいい、しばらく私といなさい」
陛下はそうお笑いになり、私を庭へとお導きになります。国王とその家族のほかは、本当に限られた人しか入ることのできない庭に、私も足を踏み入れることになりました。

 「そのうち、ここにお前が好きな花でも植えさせようか」
そうお話になる陛下と私の周りには、護衛と側近が数人ばかり、見え隠れするように従っています。歩きながら、私はいつの間にか、庭の随分奥に来ていることに気がつきました。
お城が良く見えるその場所には、古いあずまやがありました。陛下がお命じになると、側近の方は、その東屋の四方を守るように散ってゆきました。
「しばらく、ここで過ごそう」
そうおっしゃり、私を中にお導きになります。中といっても、あずまやは屋根と柱ばかり、その屋根の下に、簡単な天蓋のついた寝台に、テーブルと椅子がありました。陛下のお心積もりはわかりましたが、私はそこから足がすすみませんでした。
「どうした」
「あの…」
見え隠れする人影が、私を注視しているように思えました。ご寵愛が、貴婦人とはとてもいえたものではない私の元にこのごろおありなのを、快く思われていない方々が多いのはわかっていました。だからこそ、陛下も護衛を置かれたのでしょうが…
「お人払いをかけていただけますでしょうか?」
と、言いました。ですが、陛下は
「お前のためを思えばこそおいてあるのだ。気にするな、私の私生活は口にしないよう、常々いいおいてあるものばかりだ」
動かない私の足をすくい上げ、寝台の上でおろしてくださいました。寝台の天蓋は、広げると全体を覆うようになっていました。
「お前の肌を虫が食うのも忍びない」
陛下はそうおっしゃり、その後は私にしか聞こえないお声でした。
「さあ、私の言うとおりにしてきたか、見せてもらおうか」
「あ…」
吐息のようなお声に、背筋が震えます。衣装のすそから陛下のお手が入り、私のあの恥ずかしい場所に、じかに触れられました。
「んっ」
「よしよし…かわいいやつだ」
そうおっしゃいながら、指はどんどん中に入っていきます。
「おお、このように熱くしているとは…」
「…」
指が私のその場所をやさしく撫でると、それだけで力が抜けそうです。私は陛下の腕につかまるようにして、息を殺して、あがってくる声を抑えました。
「声ぐらいは、やつらに聞かせてもよかろう」
陛下がまたささやかれ、私の奥深くまで指を立てられました。
「はぁうっ」
そうされるのは初めてのことではありません。ですが、今日のように突然なことはありません、私は耐え切れず、小さく声を上げていました。
「ぁ…は…」
「まだまだ、そんなものではないだろう」
「です、が」
隠されてはいるものの、そこに誰かいるのは否定のしようもないことでした。数人の人影ゆえにわたしが恥らうのを楽しんでおられるのか、陛下はさらにお責め立てになります。にちゅにちゅと、粘るような音がたち、私のあの場所は、入ってきた指を、歓喜の涙で迎えているようでした。
「私だけに見せることはよかろう、さあ、裾をよけなさい」
寝台の上に座り込んでいた私は、そろりと、裾をあげました。枕に体を預けて、脚を広げられて、
「あふれるほどではないか」
笑みを浮かべられた陛下は、その場所に、お顔をうずめられます。お口で慈しんでくださるその感覚に誘われるまま、私は衣装の前を全部開け放ちました。声は恥ずかしくてまだ出せませんでしたが、息が荒くなるのはとめられませんでした。
「はぁ、は…んく、ふぅぅ…」
ぴく、と体が震えて、私は小さく気をやりました。それがお分かりになったようで、陛下は私の体に張り付くばかり残った衣装を全部お取り外しになります。
「後ろをむいて、手をつきなさい」

 ご指示のままにしたのは、動物のような格好でした。背中に陛下のお体の熱さを感じます。滴るほどになったその場所をまたやさしく撫ででくださいます。胸と首筋に、私の乱れるところを探し当てられて、そこも同時になさいます。私には、吸った息を吐く間も与えられないかのようでした。
「…息もできんか…」
「す、すべては…陛下のお導きです…」
「可愛らしいことを言う。体はこうも熟れておきながら」
ひだの中の指がぐっと奥に入って、中の壁をざらりとこすりました。
「ひああっ」
「…そう、その声だ…」
私は寝台の面に突っ伏しました。指がうごめき、脚が震えてしまいます。
「この真っ赤にふくれた真珠と、奥の花園と、お前の気に入りは心得たのだぞ」
「ああ、あ、あはぁっ」
頭が真っ白になってゆきます。
「指に絡みつくようだ…私のものを受け入れてないことが、信じられんな」
後もう少しで、また音を上げてしまう。そこまで思ったとき、陛下が私の身を引き起こされました。陛下ももう、何もお召しではいらっしゃいませんでした。
「さあ、私の方も頼もうか」
と、膝立ちになられます。私の目の前には、いきり立つばかりのものがありました。私はこれを受け入れるために、あれこれとお導きをいただくのだと教えられていたので、怖くはありませんでした。でも、今までお部屋でお見かけするより、明るいところでしたから、私は恐る恐るの体で、それに触れました。
「お前がいつもするように…そうだ」
私は陛下をそっと握り、木の幹のように節くれたものにそっとしごきます。私の手の中で、それはまだ勢いを増すようでした。
「口をあけなさい」
「はい」
少し唇を開くと、陛下は私の唇の中にそっと差し入れられます。先のほうをくわえるようにして、私は、舌先を這わせました。私の唇の中で、まだそれは勢いを増しつつ付けます。陛下は、私の唇がうごめくほどに、御意を得たように息をつめておいででした。陛下が私の口の中で気をおやりになる、それが夜の締めくくりでした。でも、今は昼。陛下には、私の拙さもすべてごらんになれるのです。
「明るいところではじめて見るが…なかなかに淫らな振る舞いだ」
とおっしゃるので、私はつと口をはなしました。
「申し訳ありません」
「いや、褒めているのだ。続けてくれ」
私がまた唇に収めようとして、陛下は私の頭をおさえられ、のどにも届きそうなほどに奥にされました。
「くぷっ」
「そのままでいなさい、歯をたてぬように」
そうおっしゃられて、お腰を揺らめかせ、私の口に抜き差しを始められました。
「ん、ん、んん…」
私の口の中に、塩辛い味を感じます。陛下の息が荒く、私の唇で喜んでおられます。
「うぐっ」
そううめかれて、私の唇は解放されました。私の口の中には、陛下の味がいっぱいに残り、飲み込めなかった唾液とまざってとろりと糸を引きます。陛下は、ご自分を、その勢いを失わぬように、奮い立たせておいででした。

 「さあ、佳境にはいろうか」
と、おっしゃいます。私はきょとんとして、座り込んだままでした。すると陛下は
「ああ、そうか、お前はまだその辺の機微には疎かったな」
ははは、とお笑いになり、私とともに横になられました。
「どうだね、ちゃんと私のものになるかね」
と、改まってお聞きになります。やさしい愛撫が始まり、私の体の消えかけた火がかきたてられます。うっとりとしたまま、私は
「は、はい…御意のままに」
と答えました。その言葉に、陛下は、私の足の間に、お体を挟み込まれるようになさいました。
「多少の無体もあろうが、お前がいとしいが故だ…」
そうおっしゃられて、再び、私の敏感なところをお責めになります。脈打つような刺激に
「あああっ」
われを忘れた声を上げました。それだけ、陛下のなさりようは、私を高みへと上らせます。
「ああ、そのようにされたら…」
「…耐えられぬなら、一度気をやりなさい。その表情を、この日の下で見たい」
甘いお言葉に、私の中で何かがはじけました
「ああ、陛下、…ああっ、私…私…はあああ…っ」
敏感な部分が悲鳴を上げるように震えました。叫ぶような声を上げながら、私はぐったりと力をおとします。でも、今日ばかりは、それで終わりませんでした。
「…準備が整ったようだな」
陛下か、私の脚を広げられ、お腰をぴたりと当てられました。熱いものを感じます。
「そのまま、力を抜いていなさい」
私は、陶酔から引き戻されようとしていました。陛下の指しか知らないあの場所に、今度はあの硬くいきり立つものが入っていると気がつくのに、時間はかかりませんでした。私は、なるべく平然を装うようにしていましたが、結局、
「ひいっ」
私がのけぞって、声を上げた場所で、侵入するものは一度とまりました。圧迫感がきりきりと、鼓動にあわせて襲ってきます。陛下が、私の耳にささやかれました。
「ここを、もらうぞ」
すぐ、ぐうっと、存在感のあるものが割りいってきました。
「あぁあっ」
「くうっ」
私は陛下のお体の下で、固くなってしまいました。さすがに、それ以上動けないようで、陛下も
「このきつさも、久しぶりだ」
と、かすれた笑みを漏らされました。
「動けるかね?」
ときかれましたが、私はただ、私を包んでくださる陛下のお体にすがるより、自分からは手足を動かすこともできませんでした。口を開くと、叫んでしまいそうでした。陛下は私にひとつ口付けをしてくださいました。そして、子供を抱えるように、身を起こされました。入らずにあまっていた部分も、体が沈み込むままに受け入れました。
「私のほうが負けそうだ」
陛下が、つぶやくように笑われました。
「軽く動こう」
私は枕で体を支えるように横にされました。陛下は私の足を広げながら、いっぱいになった私の奥のほうを、こつん、こつん、と小突くようにうごかれました。
「んっ くんっ」
動くほどに、焼け付くようでした。胸や敏感な場所に時折触れてくださると、少し和らぐようでした。
「見えるかね?」
と、私の腰を持ち上げられます。
「私たちは、つながっている」
「…はい」
陛下のお腰が私の大切な場所にぴったりと当てられて、そしてゆっくりと、私の中から赤黒く興奮された陛下が姿を現します。ぬめるような照りにまとわれていました。それが、こつん、とまた奥まで収められます。
「ひっ」
「おお、だいぶこなれたな」
今度の動きは、もう少し大きいもののようでした。私は、陛下の、節くれた部分が入り口のあたりをことさらにこするのを、いやにはっきりと感じ取っていました。

 そして、
「くふぅ…」
私の奥のほうの、むずがゆくなるような感覚が戻ってきたのです。大胆にこすられ、小突かれて、私は
「あっ」
と、自分でも驚くようななまめかしい声を上げてしまいました。
「感じたか?」
とたずねられまして、私は素直にうなずきました。
「はい、少しずつ、ですが…感じて、ます」
その声も、すでに力が抜けていました。波のように、何かがあがります。
「ふああっ あ、奥がっ」
私はなりふりもかまわず陛下にすがっていました。陛下はいやな顔をされず、むしろ、それを待っておられたようでした。
「陛下、私、私…」
「わかっている」
じゅぷっじゅぷっと腰をお使いになります。指とは比べ物にならない、大きな波が、私にかぶさるようにやってきます。私はもう、ここがどこであるのかも忘れそうでした。いえ、忘れてはいませんでしたが、声をこらえたらそのまま気が遠くなってしまいそうでした。
「私、私、とても、感じてますっ ああっ、気持ちいいっ」
「一人で…行ってしまうなよ、私も一緒に連れて行ってくれよ」
「はいっ…はいっ」
陛下のおっしゃることは、まだよくわかりませんでした。私はうわごとのような返事を返していたのだと思います。
「ああ…吸い込まれるようだ…」
そういうお言葉を朦朧と聞いていました。
「見込んだとおりだ、お前のここは、…愛らしいだけではなかったな」
「あは、あはああっ」
「天に昇りそうだ…」
寝台にうずめられるような激しい突きが、私の奥を苛みます。私は、気をやろうとしていました。話に聞くには、痛いばかりという初めての情事で、私は陛下のお導きのままに、二人ながら天に昇ろうとしていたのです。
「陛下、いけません、私…っ ああ、だめっ」
「それでいいんだ、私も、じきに…うぉぉっ」
「ひぁぁぁぁんっ」
歓喜の声を上げながら、私は、熱いものがほとばしるのを感じていました。陛下は、私の
中で脈打ちながら、お情けの限りを注ぎ込まれます。そのまましばらく、体を重ねたままうっとりと、眠るような心地よさを漂っていました。
「私のそばに、いなさい、いつまでも」
そういうお声がしました。口をあけることはできませんでしたが、陛下のお心はもとより、私をお手元にとどめられることがわかっていましたから…

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