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「いい声だ」
いいながら、服を全部はぐ。隠す下着もないクリスの真っ白な肌が現れ、乳首のピンクと、へその下にさわりと見える、髪と同じ銀色の茂みが印象深く映える。
「肌も…」
横たわらせて、唇で胸元を撫でる。ゆっくりともみしだきながら、唇で交互に先端を食む。
クリスの声は、もう抵抗もせず、のどから素直にのびてくる。
「ふぁ、ふぁぁ、ああん」
しかし、空いている手がまた、わき腹やへそを撫で始めると、
「いゃあ、くすぐったいから」
と身をよじらせる。愛撫というより取っ組み合いのようにもなりながら、それでもクリスは確実に、反応の大きさを増してゆくのだった。

 「さ、てと…」
改まって指を延ばし、肝心要の部分に届かせる。遠目には生えていないような、淡い色合いの茂みの中には、よく見れば、いちばん敏感な突起がふっくらと自己主張していた。指でそれを引っかけると、クリスの声が途端にせっぱ詰まってくる。
「あ、そこは」
「ここが?」
セリオスは、まゆ根をよせて顎を反らせるクリスの表情を楽しそうに見ながら、その突起への刺激をやめない。一人だけの秘密がばれてしまった気恥ずかしさと抵抗できない刺激に、クリスは涙目で
「だめぇ、おかしくなっちゃうからぁ」
と訴えるが、
「へえ、ここをこうすると、おかしくなるんだ」
混ぜ返されて言い返す言葉もない。手脚の力も抜けて、セリオスの手と唇が与える感覚の波に漂い翻弄されるばかりだ。
「セリオスさん、意地悪よ。絶対意地悪」
「なに、この間俺のテントにとまらせたときのあの我慢にくらべれば」
「ふにゃ〜」
「でも、耐えて良かった。おかげで今晴れて君を堪能できる」
いわれて、クリスはばつが悪そうに顔を反らせる。セリオスの指は止まっていないから、彼女の下腹は時々、ぴく、と何かにけいれんする。
「あの時も、こういうこと…あんっ…したかったの?」
「俺にとっては…当然のことなんだけどね、好きな人の…そう言った表情、声、感触が味わいたいと思うのは」
「…んふぅっ」
指の動きがだんだんせわしなくなってくる。それに同調しているのか、セリオスの息も荒い。背いてた顔を向き直され、唇を絡める。
「どう?もうだめ?」
「あっん、ああ、あ、ふぁぁ…」
指が動く。敏感な突起と、奥に通じる入り口を指の腹で撫でられる。
「こんなに濡らしてる…かわいいクリス…」
耳元でささやかれる声の愛撫も手伝って、ぐうっとクリスが上り詰めてゆく。あえぎながら、彼女の手もいつの間にか、横に沿うセリオスを探り当て、堅く反り立ったものを握りしめていた。
「はっ、はっ、…はああっああ、あ、んん、んーっ」
「いっちゃえ…クリス、いっちゃえ」
「はああーん…っ」

 セリオスの指で高みに導かれ、くったりとしたクリスは、セリオスが回り込み、脚を開くのに抵抗しなかった。
 ふっくらとした茂みと、ぷっくりと膨らんだ敏感な突起、その下で鮮やかに紅潮したヒダの合間から、とろりと、蜜が流れ落ちる。セリオスはそのひだに唇を寄せ、その蜜を舌に絡め、水音を立てながら淫靡に優しくねぶった。
「ん」
クリスがうっすらと、潤んだ目を空ける。指ほど激しくないが、ゆっくりとした、不思議な感覚。
「あ」
何をしているのか、すぐ思い当たった。セリオスがひだをわけ、頭を出した突起を執拗というほどに撫でる。その部分で上り詰めた後では、舌触りも鋭敏に伝わってくる。
「はぁっ…ああ…」
「甘い蜜が…止まらない…」
「あ、お願い…そんなこといわないで…」
「本当のことだよ」
「恥ずかしくて…どうにかなりそう…」
「どうにかなってもいいよ…責任は俺が取るから…」
ゆっくりと、クリスの奥に指が差し入れられる。
「ん」
一瞬苦しかったが、言葉にはしなかった。初めてなのに抵抗なく入るところを見ると、もうどうしようもないほどに潤んでしまっているんだろう。くちゅ、くちゅと、指でかき回される。
「あ、音がする」
「あふれてるんだよ」
耳元で改めていわれて
「いや〜ん」
と恥ずかしがる間もない。
「俺の、触ってみな」
セリオスに手を導かれる。さっきよりより緊張して、震えているようだ。
「…入れたい」
それだけいわれた。
「入れるの? 指と全然違うもの…痛くない?」
握り返すと、セリオスがうめいた。
「うっ…まあ、…努力はする」
クリスはさすがに不安そうな顔をした。
「無理はしない……ね」
念を押されるようにいわれ、クリスは、閉じかけたひざをまた開く。

 愛らしいまでのひだの、ここと定めた場所に屹立した先端を押し当てる。潤む場所を押し分けて、奥に進めようと力を入れると、案の定クリスはくっと顎をそらして
「い…た…」
ずりずりと上の方ににじりあがろうとする。進むのをやめて、軽い愛撫で落ち着かせるのを何度も繰り返す。じわりと涙さえ浮かべるクリスを説いて聞かせるように、セリオスは耳元でささやく。
「怖からなくていい、ひとつに…なるんだから…」
「…ん…」
クリスは、ぎゅうっとセリオスの肩にしがみついた。じわじわと、奥に入ってゆくのを、クリスは、一杯広がって、細かい痙攣をしながらでも、受け入れてゆく。
「ん、んく…」
かみ殺す声に、心配そうにセリオスが
「大丈夫?」
と嬉々ながら、繋がる真上の宝石のような突起に触れる。
「きゅうっ」
クリスは、その感覚に震え、進入したものを一瞬だが締めつけた。
「うっ…」
セリオスがまた呻く。
「気持ちいい…」
「いいの?」
「良かった。ぎゅっときて…」
進んでは止まって、慣れたら進むを繰り返し、やがて、ぴったりと、重なる。クリスも、もうあまり苦しそうな顔はしない。
「入ったの?」
「入ったよ。どう?」
「なんか…おなかいっぱいで…」
「あったかいよ、クリスの中…」
動くよ。そう言って、ゆっくりと動き出す。
「んっ」
半ばまで抜いて、ゆっくり突く。
「んあっ」
クリスの肩がゆさっと、その大儀そうな動きを受け止める。痛がる声ではない。思ったより、慣れが早いようだ。動きが滑らかになったのを見計らうようにして、腰を浮かせて動きを早める。クリスが、上ってくる感覚にうっとりとなる声が、余計に煽る。セリオスの腕に指を立てて、いやいやと首を振りながら
「なんか、なんかへんよ…私…はじめてなのに…」
あられなく言葉が出る。
「奥の方がへんなのぉ、熱いのぉ…」
痛いことは痛いのだ。しかし、それにかぶさるように、快感が上ってくる。一杯にセリオスをくわえ込んで、意思にかかわらず締め上げる、それがセリオスをも追いつめる。
「う、うわぁ」
「ど、どしたの?痛いの?」
「痛いんじゃない…クリスの中が良過ぎて…俺も頭真っ白だ…」
クリスの顔がぱあっと上気する。
「私、だんだんどきどきしてくるの…どうしていいか…わかんない…」
「そのまま……任せて……素直に……感じて……」
うわごとのようにセリオスがいいながら、ぷちゅ、たぷん、と腰を使う。腰を使いながら、指でクリスの敏感な突起をさする。それが引き金になった。
「あぁんっ」
クリスの腰が跳ねた。その瞬間、
「うぐぅっ」
彼女の奥底で、セリオスがはじけるような絶頂を迎える。初めてふみ入れた場所を、白い液でとろりと満たしながら、セリオスははじけ尽くすまで、クリスの体を離さなかった。

 クリスは、セリオスの動きが変わったのに、奇妙に思いつつ、つるりと、奥底が開放されたのを呆然と眺めていた。自分がまだ何となくひくひくと震えているのは、余韻というものだろう。セリオスは、肩で息をついている。
「ど、どうしたの?」
「…いった」
「ふにゅ?」
クリスは天を仰ぐ。どうやら、あれが男の絶頂というものかと思い当たり
「あ、そ、なの…」
うつむくよりない。
「あー、汗になっちまった」
セリオスが立ち上がり、風呂に行くその手をとらえる。
「何?」
「あ、あのね…」
クリスもつと立ち上がり、きゅ、と抱きつく。
「お疲れさま」
「…ん」
セリオスはそれになんと返していいものか、複雑な顔をしていた。

 「なーんてね」
そこまで書き終わってから、クリスがペンをおく。
「あの頃は私も初々しかったものだわ」
「そーだな」
と、奥でセリオスが相づちを打つ。数日仕事場から離れられないクリスに拉致られてきたところであろう。
「あの後泣き出したりしてねぇ」
「それが今ではこんな、自分の過去暴露して」
そう言って、セリオスは遠い目をする。
「そう言うと思ってました。でもねあれからあんなこととかあんなこととか、教えたのはセリオスさんでしょ、10万28年分のテクニック全部伝授したとか」
「はいはい、愚痴はそれまで」
セリオスが、クリスの後ろに回り、書かれた原稿を確認しながら
「それが俺のほれた女だしな」
とこともなげにいう。クリスはあはは、と笑った。
「今まで積み重ねてきた時間は消せないからな…いろんなことを覚えて、それで楽しむ、それでいいんじゃないの?」
クリスは原稿に最終に確認を入れて
「さて、誤字無し脱字無し。アイテムには後ですればよし、と」
いいながら、
「さて、寝ましょか」
と伸びをした。その顔がなんとなく、思わせぶりだ。セリオスは、少し肩をすくめて
「はいはい」
と、クリスが差し出してくる手をとった。

 夜は、これからが長いのだ。

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