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パーティーを抜け出して

 「怒ってる?」
「怒ってない」
 しかしエレノラは、ぷん、と横を向いたままだ。パーティーの繰り広げられる、サロンにつづいた休憩用の小
部屋は、こういう込み入った話をするには、丁度いい狭さだ。邪魔者を押し退けるように部屋に鍵をかけて、フリオはつづけて聞く。
「わかってるよ。さっきダンスの相手をした御婦人に、焼きもちやいたんだね?」
エレノラの視線がすうっと動く。
「だって、フリオってば、あの方の胸ばっかり見ているのだもの、私…自信なくしちゃったじゃない」
「あれは御婦人が悪いんだよ」
フリオは後ろからエレノラに近付き、後ろから覆うように抱く。
「あの服見ただろ、あんなに強調しなくッても。…まあ、それが御自慢らしいから仕方ないけどね。不可抗力ってやつだよ」
そして、服の上から、エレノラの胸を、さも愛しそうに掴んだ。ほぐすようにゆっくりと、その手をまわすと、
「ふぁ」
エレノラの声には早くも甘さが混じる。
「何よ…私にも、ああいう服を着ろっていうの?」
「まさか」
背中にある服のとめ具を、脱げ落ちない程度にはずし、出来た隙間から、今度は直に触れる。
「たしかにさ、大きさはエレはかなわないよ」
「わるかったわね」
エレノラが身をよじる。
「…やぁよ、こんなのじゃ…だまされないんだから」
しかし、服の中で微妙にフリオの手が動き、エレノラの体にぴん、と電撃が走る。
「あんっ」
「…でも、感度はいい」
フリオはエレノラの首筋に息をかけるように、ふっふっと笑った。ささやかに粟粒たつ胸を、手で直に揉む。
「はやとちりだね、かわいいエレ」
「ふぁ、ん… ほめったって、何にもでないわよ」
そんな彼女の言葉を聞いているのかいないのか、フリオはエレノラの髪を結い上げたうなじや首筋に唇をたて、息を細く吹き付けてゆく。服の上をはだけて、白く張り詰めた乳房を弄びながら、別の手が裾をたくしあげ、太ももを撫でた。

エレノラは自分の背後で、手とは別に、硬い存在感を感じ取っている。
「ばか…何当ててるのよ」
「何って、分かってるくせに」
うち股の柔らかい部分、その付け根当たりを撫でてゆく。肝心な部分も間近い場所だ。条件反射のようにかき立てられるからだの中の焔に、エレノラは抵抗しない…怒っているのは上辺だけなのだから。
「ん、は…はぁ…」
「肌が熱いよ、エレ」
いいながら、硬くなった乳首をひねる。
「きゃあっ!!」
力がぬけ、倒れそうになる所を、フリオは腕を捕らえて引き寄せた。からめるように抱き締め、二人は唇を存分に吸いあう。エレノラの手が、フリオの硬い分身を撫でた。
「エレ…お行儀が悪いじゃないか」
「お互い様よ、こんなにして」
エレノラが、フリオの前に膝を着いた。むき出しにしたそれを、ためらわず口の中におさめる。フリオは彼女の頭を抑えて、ゆっくりと彼女の口の中を自分の分身で満たした。
「んー…」
脚を抱き締めて、エレノラはフリオを奥まで納め、抜き出しつつ、その先端に舌を食い込ませる。
「あう」
「困ってもらうから」
「何を…しゃべっちゃだめだよ、エレ、君がはじめたんだ、ちゃんと、最後まで…」
いいながら、フリオの腰が前後に動く。エレノラも、それにあわせたり、口をはずして、舌先で横を叩いたりする。
「ああ…」
フリオが情けない声をあげると、エレノラはさも面白そうに、硬く聳えるその根元の袋を包み撫でたり、体毛をさすったりする。
「ダメだ、エレ…出る…出る!」
エレノラの唇から頬にかけてを、白い粘液がぱっと汚した。とろとろと筋になり、薔薇色に上気した胸元にポタリと落ち、谷間に吸い込まれてゆく。
「あはは…一杯でたね…」
液をつたわせ、なごりに震えるフリオの分身を、エレノラは舌でなめとる。

フリオは
「エレ、ほっぺたについてるよ」
と、頬に残る粘り気をなめ、もう一度エレノラと唇と舌をからめる。そして、エレノラの衣装の下に、指を忍ばせた。
「んっ」
下着の湿りを確認して、その横に指を差し入れると、溢れそうな程の潤みが、熱く指にからむ。
「僕のをくわえながらこんなに感じて… かわいいコだ」
そう耳打ちする。エレノラはフリオの肩に腕をからめ、秘密の場所のヒダと遊ぶようなフリオの指裁きに、
「きゃぅっ や、…やん…」
陶然と酔う。
「ヒダヒダも、毛も、下着までびしょびしょだ。恥ずかしいエレ、どうしてこんなになってるの?」
「フリオのをなめて…一緒に感じたの…」
「僕のをくわえながら、入れられた所想像したんだ?」
「そう…」
エレノラはためらいもなく言い、また硬く聳え立つようなフリオを撫でる。
「これ…これほしいの…」
かがみこんで、また口におさめようとするエレノラを立たせる。
「エレ、もう少し待って。どうせするなら、…もっと乱れよう」
エレノラの背中を壁に預け、その足下に膝立ち、フリオはエレノラの片足をあげさせた。その脚だけに通したエレノラの下着が、透き通るような湿り気を帯びている。

彼の目の前には、しっとりと濡れた恋人の秘密の場所が、ふっくりと熱を持って広げられている。それを指でかき分けて、敏感な場所に唇を吸い付けた。
「きゃぅっ」
その後ろの、泉のように溢れる所に、指を根元まで押し込む。かき回しながら、抜き差しをすると、
「くはぁ…」
エレノラは声をあげる事もできず、息を荒げて体を震わせた。
「感じてるね、嬉しいよ」
「ばか…」
憎まれ口にも説得力がない。ふっくりと顔を出した敏感な突起は、フリオが指で軽く弾くだけで、全身を震わせる程の感覚を導いた。
「やん、やん! 弾いちゃ…あはっ」
「さ、エレ、どうしようか」
フリオが実に困る口を聞く。どこまでどうすればエレノラが自分を求めるのか、熟知しているはずなのに、それでも聞く。言葉の愛撫と言うやつだ。差し込まれた指がきゅうっと包まれて、エレノラの体が緊張した事を教えた。
「ど、どうって」
「ここをこんなに濡らして、固くして…ほら、言う事があるだろう」
「あ…いれて…」
「指が入ってるよ」
「指じゃ…指じゃ嫌なの…フリオで…かきまわして…ほしいの…」
十分すぎる答えだ。
「いい子だね、エレ。じゃあ、そうしよう」
エレノラの脚を広げさせ、ゆっくりと、おろさせる。胡座をかくフリオに向き合い、またがるような形だ。
「くぁぁっ」
自重に助けられて、フリオが根まではいってゆく、フリオが抱き締め、胸にすりつきながら、
「…熱いよ…」
と、呟いた。優しく、軽い運動を始める。
「ほら、締めて。動いて」
「うぅ、はうっ…あうっ!」
エレノラが腰をひねる。きゅうっと、フリオをくいしめた。フリオの背中にも、ぞくりと波が襲う。
「そう、そんな感じ…エレ、ほら、もっと…きれいに…乱れてよ…」
かき回してほしいと乞いながら、今のエレノラはフリオを芯にして、自分から腰をまわしている。その動きが、フリオの先端と根元を刺激して、芯がひとまわり太くなったような、そんな動悸がする。

 フリオが、エレノラの背中を支え、そっとじゅうたん敷の床に横たえる。片足をあげさせ、横様に、深く貫く。
「ふはぁ…」
うちももの柔らかい肌をさすりながら、フリオの腰が一層貪欲に動く。
「ほら、踊って」
体毛の中でこりこりに緊張した敏感な突起を指で押さえられて、エレノラは、
「ああ、あああ、ああああっ!」
口からとろりとだ液を流しながら、体をひくひくと踊らせながら、侵入するするフリオをくわえ、痙攣する。
「ああ、エレ…」
奥深くに差し込まれたフリオの先端が、エレノラの奥底に突き当たり、こりこりと刺激される。フリオにも言葉はなく、眉根さえよせながら、エレノラを責め立てた。
「かんじる、かんじるよぉ、もっと、もっとぉ」
「エレ、いいよ、すごい、きれいだ…」
言葉に疎通もないが、感覚を共有している事だけは確かだ。
「フリオが中に…中にいるのょおお…」
「ぼく、先まで固くなってるよ、ほら、わかる? エレの奥に当たる…ああっ」
フリオの背中に走る刺激が、短い感覚で、激しくなってくる。ちらりと、エレノラと視線があう。
「もっと、もっとおくまできて〜」
「いいよ。奥に…エレの好きな奥に…」
水と空気とが触れあうにちゃにちゃとした音が、着崩れた服同志が擦れるさわさわとした音に混じり、部屋を満たす。
エレノラの声が、だんだん高くなり、体が、びくんっと大きく震えはじめた。
「ふぁふぁ、ああっ、いい、いいよぉ、い、いく…」
フリオが、散り散りの理性をかき集めて、エレノラに最後通告を与える。
「エレ…ほら、あげるよ、僕を…可愛くイったら、一杯あげる…」
ゆっくりとした、大きい動き。そして、指での愛撫も続く。エレノラはそれに見る見る追い上げられ、
「い、いく、ぁ。ああっ あああっ ああ〜〜っ!!」
絶頂の嬌声を長く引いた後は、失神したようにこっとりしからだの力が抜けていった。
「はあっ」
それを見たか見ないか、フリオは持ち上げたエレノラの脚を、跡がつきそうな程に握りながら、熱くみだらな奥底に、焼きつけるように解き放った。すべてエレノラの中に注ぎ込み、エレノラを解放するが、エレノラの腰はなかなか立たず、脱力した脚の間から、白いものがとろりと流れ落ちた。
「フリオ…ふらふらするの…」
と、困った声をあげるエレノラに、
「エレ、可愛かったよ」
と、くちづける。エレノラは、今さらに頬を染めながら、
「…ばか」
その唇に答えた。

「怒ってる?」
「忘れたわ」

をはり。

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