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もっと危険な彼女

#4.女の子の胸の中 日頃の不満がたまってる

 「まだかなぁ」
ナンナが呟く。いつもなら、もう眠ってる時間なのに、今夜に限ってリーフが部屋に帰ってこない。
 主人のいない寝室に一人だけ。このまま眠ってしまっていいものか、律儀にも悩んでしまう。
 くるん、と寝返りを打って、
「ん」
ナンナはつい声を上げる。この間新しくした夜の服も、だいぶ新しい感じが抜けてきて、しなやかに体についてくるようになった。それはそれで肌触りがよくて気に入っているのだが、今夜だけは、なぜかこれが困る。つい両の胸を押さえて、
「落ち着いてくれないかなぁ」
呟く。

 先日初めて、胸への愛撫をもらった。
「神様は不公平だな」
と、リーフが、服の上からナンナの胸を押さえる。
「どうして、女の子を、こんなに全身柔らかくお作りになったんだろう」
「神様のことを悪く言うと、バチがあたりますよリーフ様」
「冗談だよ」
ナンナがその言葉に返すと、リーフは笑いながら、手のひら全体で胸をおしつけたり離したりする。
「ナンナだって、昔は僕とおんなじで、何にもなかったのに」
「…」
「いつの間にか、こんなにかわいくなってて」
「かわいくないです」
ナンナは、少しだけぷう、とふくれた。前からほんの少し悩みのタネだったのだ。時間が解決してくれる問題ではあったが、もう少しふっくらと、形よくならないものか、と。
「全然、柔らかくもないし」
「そうかな」
服の上からゆっくりと握られる。指先がうずまるほど、とはいえないが、そのふわふわとしたものは、すくい上げるとぷるん、と震える。それぐらいの質量感はあった。
「みんな、ナンナの胸は、これから綺麗になるってうわさしてるよ。そうするのが僕の仕事だと思うと、なんかうれしいな」
「みんな、って、誰ですか」
「ん? 解放軍の男たち」
「やぁだ、あの人たち、そんなことばっかり話してるんですか?」
「君たちだって、似たようなもんだろう? 現に君は、この間から僕を手で…」
「リーフ様だから、するんです。ほかの人にはしません」
「僕もおんなじだよ、こうして触ってもいいのは僕だけ」
でも、その胸は、リーフの手がまだ余るようだった。
「でもね、さわってくれるひとがいると、早く綺麗になるって」
「本当ですか?」
「試そうか?」
リーフはそういって、つんと目立つ胸の先を、指の腹でちっ、とはじいた。
「んっ」
ナンナの目がきゅっと閉じられる。服地の上から、さわさわと、浅くもみこまれ、その先が服地越しに撫でられる。
「あ、少し大きくなったかな?」
「そんな、すぐ、大きくなんか、なりませんよぉ」
「先のほうが、すごくとがってる」
服地だけでこすられる。
「ふぁっ」
ナンナはまたぴく、と震えた。
「かわいい声」
リーフはくすくすと笑う。
「我慢しちゃだめだよ」
先のほうが好き?尋ねられながら、ゆっくりと服の前が開けられてゆく。
「あ…」
「もうだめ、じかに触りたい」
胸まで桃色に染まって、その先が少し翳って、その胸全体を、胸当てのようにリーフの手が覆う。
「あったかい。しっとりしてて…」
リーフの手のひらの感触が、じかに伝わってくる。ナンナは、ぼんやりとした視界でその様子を見て、
「やっぱり、少し大きくなったかな」
と漠然と思う。リーフの手のひらにぴったりするぐらいまで大きくなればいいな、と、これまた漠然と思う。
「こっち向いて」
後ろからリーフの顔が見えてきて、まるでのけぞるようにして口付ける。自然と胸がそり、固さのある部分をもみほぐすように、つんとした乳首を指の腹で押し込まれたりする。
「ん、んんん」
唇が離れて、
「は、あ、…ぁ」
「先のほうが感じるんだね」
リーフが確認するように言う。ナンナは
「はい、しびれてます…」
「じゃ、そのまましびれきってもらっちゃおうかな」
リーフはにや、と笑い、半分裸のナンナをころりと寝台に寝かせた。
「あむ」
ふよん、と上下したナンナの胸の片方を、リーフはいとも楽しそうに口にする。
「あ」
口はひとつしかないから、あいた片方は再び指でこねられる。
「はあっ あ、ん、んんぁ」
びりびりと、小さい刺激が脊髄を走る。そのうち、何かが胸いっぱいになってくる。逆らえない何かで、いっぱいになってくる。
「はあ、はぁ…あ、あ…
 んっ」
ぴくん、とナンナの肩が震えた。体が重いような、軽いような不思議な感覚で、ふと目を開けると、リーフの顔が真正面にあった。
「全部、見ちゃった」
「な、何をですか」
「ナンナのかわいい顔」

 「ああもう、何思い出してるのよ」
ナンナは枕を抱えて一人で寝台に座っていた。あの後、リーフをご機嫌よくさせて、その夜は終わったのだが、それ以来、ナンナは、あの胸がいっぱいになる気持ちは、どうしたらもう一度味わえるのか、考えていた。
 今の回想だけでも、腰の奥がじんわりと重い。そして、このじんわり感と、敏感な胸先はなぜか連動しているのだ。
「…」
そっと手を当ててみると、両方とも、恥ずかしいほどとがってしまって、手で隠しでもしなければ見えてしまいそうだ。その片方を、恐る恐るつまんでみる。
「んっ」
ぴく。どうやらこの場所は、触る相手を選ばないらしい。リーフの指を思い出しながら、あれこれともてあそんでみる。腰のじんわり感が高まってきて、脊髄が騒ぎ始める。
 が。腰のじんわり感が、あふれたような気がした。あわてて、衣装の中に手を入れると、
乙女の最後の砦たる一枚は、粗相でもしたかのように、湿って感じた。
「うそ、さっきすませたばっかりなのに」
替えの下着… 衣装箱代わりに預けられている小部屋を空けたとき、
「どうしたの?」
と声がかかる。
 万事休す。ナンナは思わず、その場で泣き崩れてしまった。

 「どうしたの、泣いてないでこっち向いて」
リーフが着替えている間に自分の着替えも済ませる。湿した布で身をぬぐったら、まだリーフにも許していないその場所が、ぬるぬるとしたものでいっぱいになっていた。
 あんなもの、見たことない。病気にでもなったのかしら。そう思うと、リーフの隣で眠っていることすら、申し訳なかった。
「もしかして、僕が今頃来たの怒ってる?」
そう尋ねてくるが、ナンナは、違うという代わりにかぶりを振った。
「ねえナンナ」
処置なしのナンナを、リーフはやや強引ではあるが起こし、自分にむけさせる。
「僕が来なかった間に、何があったの? お願いだから教えて。泣いてばかりじゃ、わからない」
「りーふさま」
ぬぐうそばからぽろぽろと涙を落としながら、
「私、どうかなってしまったのかもしれません」
「どうして?」
「だって…」
軽くしゃくり上げながら、ナンナは、あったことを説明する。するとリーフは、ぽかん、と口をあけ、その後くくく、とかみ殺すような笑いをした。

「何で笑うんですか?リーフ様」
もう涙は止まっていた。ナンナが、憮然ととうと、
「いや、だって、僕のこいつ(とリーフは自分の股間を指した)をおとなしくすることは知ってるのに、ナンナは自分のことに全然気がついてないから」
リーフは言いながら、まだ残ってる涙を全部指でぬぐってしまう。
「いや、ちがうな。僕が今まで、ナンナが懸命だったのに、甘えてた」
「甘えていたなんて、そんな、私はリーフ様のためにがんばるのが」
「だから、そのがんばりにご褒美をあげる」

 夜の服を脱いで寝台に上がれといわれ、ナンナはそのとおりにする。身についているものといえば、さっき替えた、乙女の最後の砦だけだ。
「リーフ様、あの…」
「何?」
「明かりを…少し落として、いいですか?」
胸だけを腕で隠して、ナンナが言う。
「いいよ。いいけど、転ばないでね」
「はい」
ナンナは、部屋の明かりを半分ほど消した。その後で、すでにリーフの入っている寝台に、滑り込むように入ってくる。
「うん、やっぱりこっちのほうがいいな」
「どういうことですか?」
「少し暗いほうが、かわいいより、綺麗に見える」
うん、綺麗だ。リーフは一人で納得して、
「怖くないよ。僕に任せて」
いつもの、吸い合う接吻が始まる。

 脊髄がしびれる。体の奥がじんわりと熱くなる。ナンナは、リーフの腕の下で、そのあしらいに喘いだ。薄暗いのが、逆に自分を大胆にさせてしまったのか、こらえがちの声が素直に出る。
 耳元に、顔が上がってきて、
「綺麗だよ、ナンナ」
とささやかれる。
「全部見たい…とって、いい?」
「…はい」
最後の砦は、所有者の意思で難なく陥落する。
「ほら、この音」
ぷちゅ。
「ん」
ナンナの体がぴく、と何かの反応を示す。
「いけませんリーフ様…そんなところに手を…」
「いいから」
ほんの上面を撫でるだけで、ぴちゃ、ちゅっと、秘めきれずあふれたしずくが音を立てる。
「これが、さっき君が病気と間違ったものの正体」
「…え」
「僕のアイツに、入ってきてもいいよって、ナンナの体が言っている」
ナンナの顔が薄明かりにもわかるほど紅潮した。
「…でも」
「うん。…わかってる。アイツには、まだ我慢してもらうよ。
 気分はどう?」
ナンナは、リーフのしまった肩の筋肉に、すがるようにしていった。
「腰が、重くて…それなのに、ふわふわしてます…」
「腰が重いの?」
「何か、あるような感じがします…」
「これのことかな」
リーフの指がつ、と、しずくの中に入ってゆく。
「あぁん!」
ナンナの声がひときわ高く上がる。
「な、何ですか、これ、ひぁ、きゃぅぅ」
「綺麗なナンナのかわいい分身。今まで、触ったこともなかったんだね」
それがあることは知っていた。でも、今日ほど、それが存在感を示すことはなかった。脊髄がしびれるどころか、目の中で火花が散るようだ。
「アイツをご機嫌にしてくれるご褒美に、このかわいいナンナをご機嫌にさせちゃう」
「あぁ、そんな」
「足を開いて」
リーフが、ナンナの膝裏に手をかけ、くい、と開く。その足に自分の足を絡めて、閉じさせられないようにされる。
「今日僕が遅かったのは」
秘めやかな場所から一度指をはずし、柔らかい体毛の上を撫でながら、リーフが囁く。
「ちょっと、勉強をしてたからなんだ」
「何の、お勉強ですか?」
少し息を整えて、ナンナが尋ねる。
「僕たちは、まだ本当の意味で結ばれてないよね」
「…はい」
「結ばれて、二人で一緒に迎える最高の瞬間っていうのがあって…
 まだそれが許されない僕たちでも、それを味わうことができるのかなって」
「最高の瞬間って、何ですか?」
体中から、熟れ始めの果実の、芳しい香りを放ちながら、それでも根本的に無垢なナンナの問いに、リーフは彼女の汗して額に張り付く髪を撫でつつ、その額に唇を寄せる。
「僕の場合は、君もわかるように、あのたまっていたものが開放されるとき。
 君の場合は、…これから教えてあげる」
リーフの指が、ほんの少し、奥をのぞくように動き、彼女の分身に、そのしずくが新しく塗りこめられる。
「ふぁあ」
「綺麗でかわいいナンナ、僕だけに、今の声を聞かせて」
彼女の分身は、リーフが優しく、指ですくい上げるようにあしらうと、ぷくりとふくらんで指と指で挟むことさえできる。そして、まだ今は許されない純潔の証への道も、しずくをあふれさせてわずかに開くあたりまでなら、指を丸めていたずらすることもできた。
「だめです、りーふさまぁ…そこはぁ…」
「わかってるよ」
わかってはいても、この先が欲しい。でもそれはできない。ジレンマに指がいらつく。
「ふぁぁぁぁ、ふぁぁ、ふぁぁぁ」
間断なく与えられるその感覚に、吐く息がそのまま喘ぎになる。その声が部屋に薄く響き、リーフもたまらず、自分のものを手にしている。
「ふぁぅっ」
ナンナの声が、急に変わる。リーフが、すうっと、ナンナの上に顔をもたげて、
「どうしたの?」
と尋ねる。片手は、敏感な芯を捉えて、刺激をやめない。許されない道の壁が、ぴく、ぴく、と収縮するように動いている。どうやら、知らぬ間に、軽く上り詰めてしまったらしい。
「気持ちいいの?」
少し意地悪な問いだ。ナンナはしばし喘ぐのをやめて、目で頷いた。
「まだ終わらないよ、ほら、声を出して」
「は…はぁっ はぁぁ…あ」
自分を優しく苛んでいる腕にすがりつく。リーフが、がちごちに主張しているのが、ちらりと見えた。それに手を伸ばそうとすると。
「今日は、僕はいいんだよ」
おさえられてしまう
「あ、でも…ん…ひぁっ」
やや乱暴に、リーフが、ナンナの分身を沈めるように押し入れた。親指で、こねるように、高みに押し上げてゆく。そうしながら、許されるまでが耐え難い道の入り口を指で撫でる。
「うくぅぅ…ひ、ひぁ、あ、はぅ、んぅ!」
ナンナがのけぞり、息をつまらせはじめる。全身を震わせ、
「……ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ナンナは、リーフにとって、最高の表情で果てた。全身がぴくぴくと震えて、例のかわいい分身が、さそわしげに、ほころびきった花の中で露にぬれている。それを最後まで見たリ
ーフの硬直した先端からも、感動の涙らしからぬしずくがたれた。
「全部許してもらったら、毎晩、こんなになっちゃうの?」
という支離滅裂な質問にも、にわかには答えられない風情だ。
 ゆるゆるとわれに返って、ナンナは、リーフが驚いたように自分を見つめているのに気がついて、ついと視線を背けてしまう。
「あ、ごめん」
リーフはやおら立ち上がって、脱がせた服を着せ掛ける。そして「待ってて」といいながら湿した布を持ってきて、ナンナの花びらのしずくをぬぐい始めた。
「あ」
ナンナはまた、リーフにすがりつく。初めて、慕わしくされた分身がなかなかもどらず、ふき取っているはずの布の感触にも、またからだが震えてしまうのだ。
 見あげた目は、もしかしたら、また触れて欲しそうにしていたのだろうか、リーフは切なげに
「今日は遅いから、もうだめだよ」
と言った。ボタンをひとつずつはめてあげながら、
「でもこれからは、お互いご機嫌で眠れるね」
彼はナンナの汗した額にひとつ口付けた。

「あの、ですね、リーフ様」
布団に入りながら、ナンナが考えながらのようにいった。
「リーフ様のお勉強のこと…私でも、何かお手伝いできますか」
リーフは、傍らのもそもそした声に、
「手伝ってもらうとなると、そしたら僕たちはもうそれきりになっちゃうよ。
 それでもいの?」
「…あ」
ナンナはこそ、と、困ったように体を丸くした。
「アレスなんか、時々、冗談でも、そそのかしてくるけどさ…」
「リーフ様」
「何?」
「私、考えて見ます」
考えてみると言われて、いつかのことを思い出し、
「がんばらなくてもいいのに」
というリーフに、
「だって、私達二人のことですよ、私だけそのままなんてできません」
ナンナは呟くように言う。
「お願いだから、僕に裏切るようなことを考えさせないで」
リーフはため息をつくように、ナンナの髪を撫でた。

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